パソコン上や携帯型デジタル機器で音楽ファイルを視聴するなどの新しい利用スタイルが出現し、一般的になってきている。
また、ケームでもオンラインゲームの出現によって、既存のゲームソフトでは経験できない新しい楽しみ方が生まれている。
これらに比べると、電子書籍では、そのニーズを喚起する利用スタイルや魅力が、現状ではあまり想定できない。
また、他の市場分野と違い、PDAの普及率の低さなどユーザーのインフラ環境が整っていないことや既存ビジネスでの市場環境の厳しさなどから、事業者(供給者)サイドのほうでも、電子書籍のプロモーション活動も、当面は控えめな形になると想定されるため、やや控え目の市場成長を仮定した。
市場のトレンド゙電子書籍市場では、最古参の「電子書店パピレス」が先行している。
また、出版大手8社で2000年9月に立ち上げた「電子文庫パブリ」は、現在参加12社となっているが、利用者の拡大は、現状ではきわめて緩やかであるように見られる。
2000年12月には、イーブックイニシアテイブジャパンが「lODaysBook」というサイトで、電子書籍の配信を開始した。
同社の電子書籍は、書籍全体を画像データとして電子化しているため、他の電子書籍に比べると、ファイルサイズが大きいという特徴がある。
たとえば、「電子文庫パブリ」の電子書籍が1冊あたり数百KBであるのに対して、イーブックイニシアティブの電子書籍は10〜20MBのファイルサイズになる。
そのため、最近のブロードバンド化の進展によって、ようやく利用拡大への環境が整ってきたところである。
以上はパソコン向けのサービスであるが、PDAによる電子書籍のサービス提供も増加傾向にある。
従来は、シャープが自社のザウルス向けに「ザウルス文庫」を展開していたが、パピレスもソニーのクリエやザウルス向けのサイトを開設した。
また、音楽配信事業を営んでいるミュージック・シーオー・ジェーピーも、2001年12月から、「PDABOOKJP」というPDA専用の電子書籍販売サイトを開設している。
プラットフォーム環境を見ると、現在では、テキスト形式やPDF形式に加えて、シャープのザウルス向けに開発されたXMDF形式、ボイジャーが開発したドットブック形式、エキスパンドブック形式など、いくつかの規格が混在している形になっている。
このような状況は、利便性という点からは、ユーザーに負担を強いている。
また、サービス提供事業者にとっても、コンテンツ制作の負担が増し、パソコンのOSのバージョンアップなどに対応したコンテンツのメンテンナンスという面でも、負担になっていることが想像される。
サービスの継続'性という観点からも、電子書籍の規格の整理は、今後、解決すべき課題となっている。
主要レイヤーの動向<電子書店パビレス>1995年11月から事業を開始した電子書籍の最古参・最大手サイトである。
2003年7月時点で、コンテンツ数は約1万l000強にのぼる。
200社以上の出版社と、コンテンツ提供で協力を結んでいる。
ダウンロード形態のコンテンツ販売がメインだが、一部Web上での視聴によるサービスも行っている。
また、ソニーのクリエ、シャープのザウルスなどPDA向けの電子書籍販売にも取り組んでいる。
<電子文庫パブリ>2000年9月からスタートした、出版大手8社による電子書籍販売サイトである。
当初の参加出版社は、角川書店、講談社、光文社、集英社、新潮社、中央公論新社、徳間書店、文雲春秋の8社であった。
2003年7月時点では、これに、祥伝社、筑摩書房、双葉社、学習研究社の4社が加わって、12社となっている。
2003年7月時点でのコンテンツ数は約4600であり、毎月1回の頻度で数十タイトルずつ、品数を増やしている。
<電子書籍ビジネスコンソーシアム>電子書籍の普及などを目指して、出版社や印刷会社、電機メーカーなどが集まって、2003年10月に設立したコンソーシアム。
勤草書房、松下電器産業、東芝、イーブックイニシアテイブジャパンの4社を代表に、19社が発起人となった。
会員としては100社以上の加盟を目指す。
当面は、松下が発売を予定しているZBookなどの読書専用端末を核にしたビジネスの展開などを検討していく予定である。
コンソーシアムの設立によって、業界全体としての電子書籍への取り組みが加速することが期待される。
既存出版市場の落ち込み既存の出版市場は、販売金額ベースで2002年は約2.3兆円であり、雑誌が約6割、書籍約4割の比率である。
1996年以降の7年間、市場は縮小傾向にあり、近年では、出版社や書店が倒産するなど、市場環境としては厳しい状況下にある。
また、近年では、ブックオフに代表される新しいタイプの古書店の出現や、マンガ喫茶のようなコミックス、雑誌の貸借的サービス、図書館などによる新刊書籍の購入など、2次的な流通市場が拡大していることも、既存の1次流通が低迷している原因の1つになっていると考えられる。
また、出版事業の収益性を左右する指標となる返品率を見ても、書籍では微減傾向にあるが、雑誌は横ばい状態である。
1995年時点と比べると、いずれもまだ高い水準にあり、改善が進んでいるとはいえない。
電子書籍とは異なる領域であるが、たとえば、現在、出版業界で検討されているICタグの導入が実現できれば、マーケティングや物流面での効率性が高まり、出版社の収益性の向上が期待できると考えられる。
他のデジタルコンテンツ分野では、すでに一般的な姿となっているが、電子書籍でも携帯電話上に展開する有料サイトが出現している。
特に新潮社が運営している「新潮ケータイ文庫」は、その名の通り、連載小説などを定期的に配信している。
既存出版社の携帯サイトのように壁紙やゲームの提供などがサービスの中心ではなく、電子書籍のサービスに中心をおいた初めてのサイトである。
現状では、iモードで月額200円、EZwebとボーダフォンライブ!では月額100円の課金であり、作家に原稿料を支払う形態をとっている。
将来的には、サイトでの配信の後、それらコンテンツを書籍として出版するという形態も目指す。
このように、月額課金というビジネスモデルや、オンライン配信から従来の書籍出版というコンテンツの展開などは、出版界における新しいタイプのビジネスの萌芽と考えられる。
従来のビジネス環境が厳しい昨今では、このように従来のビジネスを補完するようなビジネスがネットの世界から出てくることも、業界としては望まれると考えられる。
ブロードバンドの普及に加えコノテノノの充実や低価格化によって市場は徐々に成長してあり本格的な市場拡大の段階である。
今後さらに 市場が拡大するためには利用者の利便性向上やオンライン配信ならではの付加価値サーヒスの提供によってユーサー層の裾野を広けることが必要である市場規模予測オンライン音楽配信市場は、2008年度で約883億円の規模に拡大すると予測する。
これは2002年のオーディオレコード市場(生産金額ベース)の約20%に相当する。
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